約束
目の前で一つの絆が壊れて行くのを見ていた。いつまでも変わらない物なんてない。人の気持ちなんて移り変わって行く物なんだ。それが当たり前なんだ。
そんな風に思っていた。
だけど。
シゲを好きだと自覚してから、どれ位経ったのだろう。
いつの間にか俺の心の中に入り込み、その大部分を締める様になった金髪。
気が付いたら、シゲを想っていた。いつも目で追っていた。
ひょっとしたら、初めて会った時からもう好きだったのかもしれない。心を奪われていたのかもしれない。
それすらも、もう定かじゃない。
シゲへの自分の気持ちに気付いて、そしてシゲから好きだと言われて。
想いが通じ合った事が、ただひたすら嬉しくて有頂天になって。
シゲが好きで好きで、いつもシゲを想って、いつも目で追って。
その気持ちは昨日より今日、そしてきっと今日よりも明日。
益々大きくなって行く。膨らんで行く。
俺をふざけた名前で呼ぶ、その心地良い声とか。
見つめる時少しだけ見上げなければならない、その切れ長の目とか。
触れ合うとこんなに気持ちいいんだと教えてくれた、その唇とか。
シゲが好きで、シゲを構成しているパーツの全てが好きで。
その気持ちは日一日と大きくなって行く。
笑い合う時も、喧嘩する時も、黙って側に居る時も、肌を重ね合わせる時も。
シゲがいい。シゲと一緒がいい。シゲが一番いい。
その気持ちは日一日と膨らんで行く。
自分の両親も自分が小さい時は仲が良かった。いつも笑顔が絶えなかった。堅い絆があった。
それがいつしか小さな亀裂が入って、少しずつ綻び始めて。次第に減って行く笑顔。刺々しい会話。冷たい空気。
目の前で一つの絆が壊れて行くのを見ているしか出来なかった。それは苦しく、 もどかしかったけど、自分には何も出来なかった。そしてどんなに仲が良くても 、人は変わってしまうのだ。気持ちは冷えて行くのだ。それが当たり前なんだ。
そんな風に思っていた。
だけど。
シゲを好きだと気付いてから、その気持ちは益々大きくなって行くばかり。 膨らんで行くばかり。シゲが好きで好きで大好きで。その気持ちは昨日より今日、そしてきっと今日よりも明日。こんな想いが冷めて行く事なんか、あるんだろうか。シゲを好きじゃなくなるなんて、有り得るんだろうか。
永遠なんて言葉を簡単に信じる程、子どもじゃない。
でも、そんな物、と頭から否定してしまえる程大人でもないんだ。
今日は昨日の続き。明日は今日の延長。未来は今、この瞬間から繋がっている 遠い明日。
繋がっている未来なら、シゲを想うこの気持ちも、きっとずっと持って行ける。
シゲを好きになって思った。変わらない物もきっとある。いつまでも持って行ける気持ちも、きっとある。
『ずっと一緒に居ってな、たつぼん』
柄にもなく照れ臭そうに言ったシゲの言葉に、素直にコクンと頷いた。
終(2008/02/10)